児童労働データ

Q.児童労働者は世界に何人いるの?(児童労働の人数)

国際労働機関(ILO)は4年に一度、世界の児童労働者数の推計を発表しています。2021年6月に発表されたILOとUNICEFの共同報告書「児童労働:2020年の世界推計〜傾向と今後の課題〜」(Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward) によると、全世界の児童労働者(5歳-17歳)は1億6000万人(男の子9700万人、女の子6300万人)と推計されています。(2016年の推計と比べ840万人の増加)

これは世界の子ども人口(5〜17歳)のおよそ10人に1人が児童労働をしていることになります。

そのうち子ども兵士や人身売買を含む危険・有害労働に従事する子どもは7900万人にのぼり、このペースでは、SDGsの目標に掲げられている 2025年までの全廃はおろか、その時点でもなお、 1億4000万人近くの子どもが児童労働をしていると推測されています。

子ども(5歳-17歳)の人口に対し、労働人口が占める割合と推移(単位:1000人)

就労している子ども 児童労働 危険・有害労働
2000年 351,900(23.0%) 245,500(16.0%) 170,500(11.1%)
2004年 322,729(20.6%) 222,294(14.2%) 128,381 (8.2%)
2008年 305,669(19.3%) 215,209(13.6%) 115,314 (7.3%)
2012年 264,427(16.7%) 167,956(10.6%) 85,344 (5.4%)
2016年 218,019(13.8%) 151,622(9.6%) 72,525 (4.6%)
2020年 222,088(13.2%) 160,000(9.6%) 79,000 (4.7%)
()内は、世界の5-17歳の子ども人口に対して占める割合


図1:児童労働の推移(5-17歳)

児童労働の推移.png

出典: ILO (2017年), ILO・UNICEF (2021年)をもとに作成


Q.児童労働はどの地域に多いの?〜児童労働の地域分布

世界の児童労働者の半分以上が、サハラ以南アフリカ(サハラ砂漠より南のアフリカ地域)に存在し、およそ4人に1人の子どもが児童労働に従事しています。2012年までは児童労働者数が最も多いのはアジア・太平洋地域でしたが、2016年からサハラ以南アフリカが最も多い地域となり、2020年にはサハラ以南アフリカが絶対数も子どもの人数に対する児童労働者の割合も、前回より増えています。

図2:地域別の児童労働者数と児童労働者の割合(5〜17歳)

地域別の児童労働者数と児童労働者の割合.png

出典: ILO・UNICEF (2021年)をもとに作成

Q.どの産業で一番多く働いているの?〜児童労働の産業別人数

農林水産業において児童労働に従事している子どもは1億1200万人で全体の7割を占め、続いてサービス業が2割、工業が1割となっています。5〜11歳の児童労働者の4分の3以上が農業をしていて、農業が児童労働の「入口」(entry point)になっていると言えます。

児童労働者は、農村部で1億2270万人、都市部で3730万人、子ども人口に占める児童労働者の割合は、農村部で13.9%、都市部で4.7%と約3倍もの差があります。

図3:産業別の児童労働者数(5〜17歳)

産業別の児童労働者数.png

出典: ILO・UNICEF (2021年)をもとに作成

児童労働は、家庭内で多く起こっている

児童労働者の72%(5〜11の児童労働者の83%)は、主に家族農業や家内工業など家庭内で働いています。家族と一緒に仕事をしているからといって、安全ではありません。家庭内の児童労働者のうち、5〜11歳の4人に1人以上、12〜14歳の約半分は健康、安全、道徳が脅かされるような仕事をしています。

児童労働による就学への影響

児童労働者の約3分の1が、学校に通っていません。義務教育期間であるにもかかわらず、5〜11歳の子どもの27.7%、12〜14歳の子どもの35.2%が学校に行っておらず、危険有害労働に従事している子どもの半分近くが学校に行っていません。

日本を含む高所得国にも児童労働が存在

児童労働者は低所得国(6500万人)と低・中所得国(6970万人)に多く、全体の84.3%を占めていますが、日本を含む高所得国にも160万人(1%)の児童労働者が存在します。

新型コロナウイルスによる児童労働へ影響

低所得層の家庭の子どもの数は、2019年の5億8200万人から1億4200万人増加し、2020年には7億2400万人にもなったと推計されています。職や収入を失った家庭では、子どもを働きに出すことで対処している場合があります。その一方で、コロナ関連の財政出動のうち2%しか子どもとその家族に割り当てられていません。

学校閉鎖となった国も多く、その間に働き始めた子どもがいることが報告されています。ブルキナファソの採掘現場で親と一緒に働いている子どものなかには、親が子どもだけを家に残して働きに行けないことを理由に挙げているという報告もあります。

新型コロナウイルスが児童労働に及ぼす影響は複雑です。短期的には、中所得国においては労働需要の落ち込みによって、経済活動に従事する15〜17歳の子どもは減ると考えられます。しかしながら、長期的には、貧困によって児童労働が大きく増えると予想されます。


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