児童労働の撤廃に向けて?NGO?

1.責任・役割

NGOは主にプロジェクト実施、政策提言の2つの責任があります。

現地で実際に児童労働を撤廃するためのプロジェクトの実施を担う責任です。国際機関や政府のプログラムであっても、実際は現地のNGOが実施主体となって、子どもたちの救出、保護、リハビリテーション、教育への統合など様々な取り組みを行っています。

一方で、児童労働撤廃を進めるためには、政府がそのような政策を策定し予算等実施体制を確保したり、条約を批准しそれにあわせた国内法を整備し児童労働の禁止を法的に担保することなどが求められます。そのような政府の責任が果たされているかをチェックし、提言を行う役割をNGOは担うことが求められています。

2.活動(現状)

現地プロジェクトの実施団体、政策提言を行う団体は数多くあります。

児童労働に取り組む非営利組織の最大のネットワークが、「児童労働に反対するグローバルマーチ」です。このグローバルマーチには1686団体が「ナショナルパートナー」として各地域別にウェブサイトに紹介されており、これらの団体はグローバルマーチの実施時に協力したり、プロジェクト実施や政策提言など児童労働に関する何らかの活動を行っていると考えられます。

3.特長、課題、他のセクターとの連携

NGOの特長は、きめ細やかな、一人一人の子どものニーズに合った活動ができることです。例えば、人身売買の被害にあった子どもを救出する場合には、その子どもを保護し、カウンセリングを行い、家族を探し、家族に統合し、その後また子どもが働かないようにフォローアップを行うなど、NGOだからこそできるきめ細やかな対応をしています。
そのような一人一人への対応が出来る一方で、課題は、プロジェクトのスケールアップです。成功例としてあげられるケースも、それをスケールアップするための資金が確保できなかったりします。

また、特に政策提言を行うための資金の確保は大変難しいものがあります。先進国のNGOだけでなく、現地のNGOと連携し、また現地でもアドボカシー活動を通じて児童労働撤廃の活動推進をあらゆる角度からしていく必要があります。

4.日本での取り組み

児童労働問題に取り組むNGOは日本ではそれほど多くはありません。児童労働ネットワークに加盟したり、児童労働反対世界デ―キャンペーンに賛同している団体は何らかの形で取り組んでいるといえます。
また、2008年に行われたアンケート結果によると、アンケートに回答した56団体のうち21団体が児童労働に取り組んでおり、その内容はプロジェクト実施(児童労働の予防、救出、保護)、調査研究から意識啓発、ファンドレイズまで多岐にわたっています。地域的にはアジアで取り組む団体が多くなっています。
その一方で、児童労働の問題について現地であまりその必要性を感じないと答えている団体もあり、児童労働という問題が必ずしもNGOの間でも認識されていない可能性があることも示しています。(出典:「みんなで取組もう!児童労働」 平成20年度外務省NGO研究会、2009年3月発行)